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    creative Re:birth 4thにて撮影 レンズ:Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5/ Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical モデル:momohal

  • フォクトレンダーで楽しむMFのススメ 作例編
    MFを活かした作品を撮ろう

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    例1 薄暗い環境でF1.2の解放

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    例2 横顔も目にピントをしっかり合わせて撮影

  • こんにちは!
    PASHASTYLE編集部のイグアナさんです。
    フォクトレンダーでいくMFのススメ 設定編(https://pasha.style/article/854
    に続き、こちらは作例編となります。MFを使うと作品の表現にどんなメリットがあるのか?という事をいろいろな撮り方と共に紹介していきます!今回はポートレイトにおいて使い分け易いこちらの2つの焦点距離を選びました。
    Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5
    Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical

     まずは例1を見てみましょう。こちらは単純に明るさが足りない薄暗い環境での撮影です。AFなら多少迷いがちな暗さですが、ピーキング機能と拡大機能によってしっかりと目にピントを合わせて撮影できました。Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical の、50mmf1.2の開放での撮影なので、ピント面のシビアさにかなり気を使いましたがうまくいきました。MFでピントを合わせたままタイミングを待ち、モデルのmomohalさんが笑った瞬間に反応してシャッターを切りました。AFならそこからさらに「ピピッ」とワンテンポフォーカス時間を取られることによって、この素敵な笑顔を逃していたかもしれませんね。如何に進化した高速AFといえど、暗所では多少フォーカススピードが落ちることがあります。その点MFは、一度ピントを合わせてしまえばシャッターを押せば即切れるのでチャンスを逃さない瞬発力がありますね。またこのレンズの開放で撮った時の独特の味やボケ感が非常に好みです。

     続いて例2では環境光的にはとても取りやすい状態です。しかしこういう時になんとなく顔にAFを合わせていると、頬や輪郭にピントがいってしまい、目にはピントが来てないことがたまにあります。こちらもMFピーキング機能&拡大でしっかり確認して撮影できました。こちらはドレスのディティールを少し入れたかったので、同じ50mmですがF2.8に絞って撮影しました。そうするとこのレンズ、解放とはかなり違うシャキッとしっかりとした描写に変化していきます。1つのレンズで2種類の撮り味が楽しめる面白いレンズです!

  • 例3 手前のモデルの目にピントを合わせる

  • 例4 あえて鏡の実像にピントを合わせる

  •  さて例3と例4は比較しながら見ていただきたいです。一見AFでも問題なさそうですが、色々な観点からMFの使用をお勧めするシーンです。まずこれだけ本人と鏡の実像が画面上で近くにあると、顔の向きや構図の調整をやっているうちに、AFが突発的に意図しない場所に変わってしまったり、奥目のピントや輪郭のピントになってしまうことがあります。こういうシーンではMFを使ってしっかり意図した方にフォーカスを固定しておきましょう。また、鏡が割れていたり汚れていたりすると、鏡の実像がはっきりしない場合が多く、AFにはあまり向きません。例えばそこはあえてぼんやりしたまま、MFでピントの外し具合を表現として探るのもいいかも知れません。3枚ずつMFリングを回しながら段階で撮っていって、ピント位置による自分の表現を見つけても楽しそうです。こんな発想が生まれやすいのもMFの特徴かも知れません。
     こちらはVoigtlander MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5で撮影し、モデル本人と鏡の実像が近くに配置できるよう、撮影しています。こちらのレンズはMACROとついているだけあってかなり細かくピントの位置を調整でき、解像力も凄いレンズです。撮影時、ぼかし気味の表現も迷ったのですが、この解像感を活かすために今回は鏡の実像にピントを合わせることを選択しました。結果、鏡の中というシビアな状況でもかなり綺麗に撮影できました。MFレンズ特有のピントが合った時の素晴らしい解像感は、いつ見ても気持ちがいいものですね。
     

  • 例5 ホログラムシート越しに撮るとこのような表現も可能

  • 例6 光源が点在していてもMFなら迷わず合わせられる

  •  例5はかなり遊びの入った作例になります。こちらはレンズの前にホログラムシートを用意し、モデルの体には電球を巻きつけてホログラムシート越しにシャッターを切っています。ホログラムシート越しの撮影となると、流石にAFは全く当てにならないので、まずMFでピントを固定→シートをレンズの前に用意→シャッターを切る、という順番になります。またこの動作では必ず片手がふさがるので、小型軽量のフォクトレンダーはとても使いやすかったです。これがもし70-200mm級に大きいレンズだったら一人では絶対に撮れませんね。
     例6は少し薄暗く、光源が点在している環境です。若干引き気味の撮影ということもあり、顔にピントが甘くなりがちなシーンですが、しっかりと撮影できました。ピント部分の拡大をしてフォーカス確認をすると「肉眼では見えなかったけど、髪の毛が目にかかっている」ということに気付けたりもします。またピーキングによりピント位置だけでなく被写界深度が確認できるため、画面全体のどの位置までピントが合っているのかがわかるのもメリットですね。それによって絞りを微調整しながら、表現を探ることができるのもピーキング機能の使い方だと思います。

  • さて、いかがだったでしょうか。瞳AFでパッと撮るのではなく、MFのピントを合わせる大切さも伝わったのではないでしょうか。ただピントの正確さのために使うのではなく、ピーキングによる被写界深度の把握や、ピント面の拡大によって細かい髪の毛などの乱れに気付いたり、フォーカスを外した方が表現として面白くなったりと、新しい気づきも生まれます。今まであなたがAFしか使ってこなかったのなら、MFレンズは一度触ってみるべきレンズなのかも知れません。
     
     このレビューでVoigtlander MACRO APO-LANTHAR 110mm F2.5とVoigtlander NOKTON 50mm F1.2 Asphericalの2本を使いましたが、どちらも撮り味があって面白い!特に50mmの方はF2.8を境に選べる撮り味というのはかなり楽しいです。これは他のフォクトレンダーにも適用されている仕様らしいのですが、他のレンズも触ってみたくなりますね。そしてMF専用レンズを使って毎回思うのですが、AFレンズをMFモードで使うよりも、MFレンズのMFはかなりピントが合わせ易いのもポイントですね。