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  • Thom Yoshidaが魅せるVoigtländerで描くポートレートの世界
    RFマウントに新たな選択肢!





PASHA STYLEポートレートナビゲーターのThom Yoshidaさんが、かねてより注目していたVoigtländer(コシナ)のレンズを使って作品撮りを行った。今回は特別にコシナよりレンズをお借りし、実際の撮影に投入。選んだのはRFマウント対応のマニュアルフォーカスレンズ、「NOKTON 40mm F1.2 Aspherical」と「NOKTON 75mm F1.5 Aspherical」の2本だ。 RFマウントではサードパーティ製レンズの選択肢が少なく、なかでもマニュアルフォーカスとなると、ほとんどが中古か中華製に限られるのが現状。その点、フォクトレンダーは現代的な電子接点を搭載しており、手ブレ補正やフォーカスアシストにも対応するなど、操作性にも配慮が行き届いている。クラシカルな描写と信頼できるビルドクオリティを兼ね備えたこのレンズは、今後のRFユーザーにとって注目すべき存在といえるだろう。Thom YoshidaさんがVoigtländerで描いた、今回の撮り下ろし作品をご覧いただきたい。



深き森


 


使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/160、絞りF3.2、ISO1250

ブラックミストフィルター使用


使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/200、絞りF4、ISO1250

ブラックミストフィルター使用




使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/640、絞りF4、ISO800

ブラックミストフィルター使用


使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/160、絞りF2.8、ISO1600

ブラックミストフィルター使用




使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/15、絞りF5、ISO800

ブラックミストフィルター使用


使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/160、絞りF2.8、ISO1600

ブラックミストフィルター使用




使用レンズ:NOKTON 40mmF1.2 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/400、絞りF5.6、ISO800

ブラックミストフィルター使用


使用レンズ:NOKTON 40mmF1.2 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/200、絞りF5.6、ISO800

ブラックミストフィルター使用




使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/500、絞りF4.5、ISO1000

ブラックミストフィルター使用


使用レンズ:NOKTON 75mmF1.5 Aspherical

撮影データ:シャッター速度1/80、絞りF5.6、ISO800

ブラックミストフィルター使用

  

  

作品紹介

Thom Yoshidaさんが5年以上にわたり継続的に撮影している『深き森』シリーズ。森とモデルが織りなす独特の雰囲気が印象的で、作品コンセプトは「森と共鳴し、呼吸する」。シンプルに森(自然)と深い緑が好きだからこそ始めたこのシリーズは、今やライフワークとなっている。取材には同行させてもらったが、山ではなく平地の森にこだわり、ロケーションが設定されている。森初心者のPASHA STYLE編集部のサトーとしては、山に行けば撮れそうじゃんと思ってしまうところだが、Thom Yoshidaさんはロケ地選びに徹底的にこだわっている。そうした細部へのこだわりが、彼の独特な作品の空気感を生み出しているのかもしれない。

 

 

【PHOTOGRAPHER】
Thom Yoshida(とむ・よしだ)
世界観研究所所属。
クリエイティブディレクター/フォトグラファー/映像作家。
「イメージをかたちにする」をコンセプトに、世界観のある表現制作と
プロデュースを手がける。得意分野はファッション、広告、ポートレート、
アーティスト写真。
Instagram:@thomyoshida
Website:https://thomyoshida.com
 
 
【MODEL】
西尾琉璃 / Ruri Nishio
高知県生まれ、関東育ち。
写真や映像の中で“息をする”ように表現し続けるモデル・表現者。
ダンスや言葉、映像への出演など多方面で活動を広げ、
自然の光や空気感と深く共鳴する独自の佇まいで注目を集めている。
Instagram:@tosaneko24
X(旧Twitter):@tosaneko24

 

 

INTERVIEW ─ 撮る理由、描く理由
Thom Yoshidaが語るフォクトレンダーの魅力




 

─ なぜこの2本のレンズを選んだのですか?

普段は50mmと100mmを使うことが多くて、その中間や少し外れた距離感で撮れるマニュアルレンズを探していたんです。RFマウントって、MFレンズの選択肢が限られてるじゃないですか。その中で、質感も描写も妥協しないVoigtländerはずっと気になっていて、今回の撮影で試してみたくなりました。








 


 


フォクトレンダーのレンズは性能はもちろんのことボディとのマッチングも考えてレンズを製作している。

40mmのフィルター径が58mmで75mmの62mmと2本とも同じようなサイズ感にしあげられている。


今回の撮影では作品撮りということで、より描写が柔らかくなるようにブラックミストフィルターを装着。


使ってみての印象は?
マニュアルレンズって、ピント合わせに集中する時間がいいんですよね。じっくりと追い込んでいく感じが心地いい。40mmは、ボケが自然で美しく、しかもコンパクト。森の中の狭い空間でも扱いやすくて、操作感も質感も素晴らしい。75mmは、滑らかで繊細なピント調整ができるのが魅力。適度な距離感を保ちながら、森の中でも圧迫感なく撮れるんです。持ち運びしやすいのも嬉しいポイントですね。






撮影のテーマは?
『深き森』というライフワークのシリーズです。5年以上続けていて、自分にとっての呼吸のような作品群。森や自然、深い緑に惹かれるんですよね。今回のコンセプトは『森と共鳴し、呼吸する』。モデルと風景、空気の流れを一体として捉えることを意識しています。


撮影時に意識していることは?
ロケーション選びが一番大事ですね。空間の雰囲気、自然との調和、そして光の変化——その三つを見ながら撮っています。特に光は常に移ろうので、その瞬間の呼吸を逃さないようにしています。今回の撮影では日陰になるシチュエーションもあったのですが、そんな時も繊細な光のコントラストを読みながら撮影させていただきました。








 


 


今回の撮影地は森の中はシダが生い茂り、森が大好きなYoshidaさんお気に入りの撮影ポイント。
森の中は昼間でも薄暗く、天から降り注ぐ光がなんとも言えない世界観を演出してくれる。
モデルさんの顔を少し明るくするためにクリップオンストロボを使って繊細にライティング。


作品の世界観の共有の仕方を教えてください
撮影前に、モデルさんにはテーマとコンセプト、ざっくりとした撮影イメージを伝えます(Pinterestでムードを共有)。そこから衣装のイメージキーワードを渡して、候補をいくつか提案してもらう。その中から僕がテーマ・モデルの雰囲気と照らし合わせて指定。最後にムードボードを組んで、撮影当日に再度共有します。準備段階から世界観を一緒につくる感覚です。





 

 


使用機材紹介


 


Voigtländer NOKTON 40mm F1.2 Aspherical RF

焦点距離:40mm

開放絞り:F1.2

最小絞り:F22

レンズ構成:68

絞り羽根枚数:10

最短撮影距離:0.3m

最大径×全長:φ70.1mm × 58.8mm

フィルター径:φ58mm

質量:420g

マウント:キヤノンRFマウント

製品ページ:コチラ


Voigtländer NOKTON 75mm F1.5 Aspherical RF

焦点距離:75mm

開放絞り:F1.5

最小絞り:F32

レンズ構成:67

絞り羽根枚数:12

最短撮影距離:0.5m

最大径×全長:φ74.0mm × 71.9mm

フィルター径:φ62mm

質量:525g

マウント:キヤノンRFマウント

製品ページ:コチラ







まとめ

Thom Yoshidaさんの作品と世界観の作り方はいかがだったでしょうか? ロケーションにこだわりつつ、モデルさんと具体的なイメージを共有する姿勢は、多くのフォトグラファーにとって参考になるはずです。フォクトレンダーのマニュアルレンズだからこそ生まれる、イメージを丁寧に描く行為は、作品撮りに最適な機材と言えるでしょう。
 
 

  




Text:SATO TAKESHI