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  • レフ板を使って、光のバランスを考えていきます。

  • カメラ女子とんすけが行く!!
    第3回『光のバランスを考える』

  • とんすけさんも自分のカメラでテストシューティング。

    • カメラの露出計は意図した箇所の適正値を割り出せない。

    • 単体露出計は顔の部分の露出が正確に計れる。

    • 背景をもうすこし見せたかったのでレフを使って露出調整。

  • ポートレイトはよく撮影するけど単体露出計は持ってない方多いですよね。そこでスタートした「カメラ女子とんすけが行く」第3回のテーマは『光のバランスを考える』。前回に引き続きセコニックの杉山涼太さんと吉澤隆史さんに指南していただきます。使用する機材はセコニックのフラッシュメイトL-308X。※L-308Xの詳細はページ下部へ

    とんすけ(以下・と)「今回のテーマは『光のバランスを考える』とのことですが、杉山さん、吉澤さん、今回もわかりやすくお願いします」

    セコニック杉山(以下・杉)「第1回と第2回では、単体露出計とカメラの露出計の違い、そしてL-308Xの使い方をレクチャーしたのですが、ただ写真を写すだけでしたら、正直単体露出計は要らないのです」

    セコニック吉澤(以下・吉)「杉山くん!! うちの製品を売れるようにお願いしますね(笑)」※編集部注釈 吉澤さんは杉山さんの上司です

    「今のカメラに内蔵されている露出計はかなり優秀です。単体露出計でしかできないことは、何かというと光のバランスを考える手助けができることです」

    「写真って、明るく写したいとか暗く写したいとか演出が重要ですよね」

    「もちろん単体露出計を持っていなくても光のバランスはフォトグラファーの皆さんならば常に考えていると思います。画面の全体を暗くしようとか明るくしようとか、シャドー部をすこし明るくしようとか。ただ、その感覚だけで試していた部分を単体露出計で数値化すれば、今まで何となく雰囲気で行ってきたものが再現性の高い技術になると思います。単体露出計を使うことで感覚を数値化し、再現できるライティング能力が身に付きます」

    「数値とかデータと言われると難しいイメージがあるけど、勘に頼らないテクニックは憧れますね」

  • モデルはセコニックの杉山さん。どんな画が撮れたのでしょうか?

  • 露出差のテストシューティング。セルフでレフ板を持ってもらいました。

  • 「では、実際に試してみましょう。まず逆光で撮影します。逆光ではカメラのプログラムオート露出で撮影すると暗めになります(写真①)。単体露出計で顔の位置で測定した数値で撮影するとモデルさんの顔の露出がほどよく写せます(写真②)。L-308Xの場合はF値が1段、1/2段、1/3段から選択でき、加えて0.1段刻みの露出値が表示されます。計測値はF2.8 9だったので、実際の撮影では絞りF4に設定しました※。2枚を比べると約1と2/3段露出が違いますね。重要なのはここからです。このシチュエーションで何を写したいかが重要になってきます」
    ※撮影時は初期値の1段ステップに設定

    「ちょっと背景が飛び気味なので、もうすこしススキを出したいかな?」

    「写真としてはこれはこれでありかもしれない(笑) 背景をもう少し出したいとなると、顔の露出と背景の露出差を少なくする、つまり顔の部分の光量を多くすれば良いですね。レフ板を使って顔を明るくすれば、目にキャッチライトも入ってちょうどいいかもしれないですね」

    「それではレフ板を使ったカットも撮影しましょう。レフ板を使うと顔の部分の明るさが1段明るくなったので、背景との差は2/3段に縮まりました。(写真③)」

    「レフ板を使うだけでだいぶ仕上がりが変わるのですね」
     
    【撮影データ】
    カメラ内蔵(写真①)
    シャッター速度 1/800 絞りF4 ISO100
    単体露出計(写真②)
    シャッター速度 1/250 絞りF4 ISO100
    レフ板使用(写真③)
    シャッター速度 1/500 絞りF4 ISO100
     
     
    「ではもう1パターン実験してみましょう。バランスを考えるのにちょうどいいので半逆光を試してみましょう。先ほどよりもさらに細かく露出を測定していきます。パッとみてもハイライトとシャドー部で露出が違いますね。どのくらい違うのかというと約2/3段の差があります」

    「あれ? 杉山さんが測定している時に光球の位置が違った気がするのですけど……」

    • ハイライトとシャドーの露出差を把握して、レフ板を使ってバランスをコントロール。

    • 女性を撮影するには露出差がありすぎる印象。

    • レフ板を使って露出差を調整すればギリギリあり。

  • 「とんすけさん よく気が付きましたね。顔の正面、つまりカメラに向けたメインの露出を計測する時は顔の中心でカメラに向けて測定します。今回はハイライトやシャドー部など顔の部分で露出が違う場合、それぞれの部分を計って、バランスを見ていきます。では先ほどと同様にレフ板を使いましょう。ハイライトとシャドー部で約1/3段差まで縮めました。こうした露出差を計ることができるのが単体露出計のいいところです」

    「明るいところと暗いところの露出差はカメラの露出計では測れないですよね」

    「この露出のバランスを数字で把握してしっかりとしたライティングテクニックが身につくと、前に撮影したカットと同じような写真を撮影できるようになりますね。なので単体露出計を使って細かく露出のバランスを考えるのは写真を上手に撮影できるようになる近道だと思います」

    「なるほど、よくわかりました。バランスを数値で理解したら写真の再現性が高くなるってことですよね。なんかいろいろなところを計測したくなりますね」

  • 【今回使用した露出計】
    セコニック フラッシュメイトL-308X
    価格:3万5000円(税別)

    胸ポケットに収まるコンパクトなサイズが魅力の1台。定常光、フラッシュ光、反射光(角度40度)まで測定可能。スチール撮影はもちろんのこと、近年人気が出てきている動画撮影にも対応可能。

    詳細はこちら
    https://www.sekonic.co.jp/product/meter/l_308x/l_308x.html
     
    まだ読んでない方は第1回と第2回も必見です。
    第1回『露出計って必要なの?』
    https://pasha.style/article/1084

    第2回『単体露出計を使ってみる』
    https://pasha.style/article/1086

     

    【とんすけプロフィール】
    平成9年生まれ。東京出身。祖父のマミヤを使いモデルも撮影もこなすスーパーガール。その正体は大学院生。
    Twitter:@tom__ch
     
     
    PASHA STYLE特派員:とんすけ
    取材協力:セコニック
    編集:サトー

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